2011年12月25日日曜日

手術の価格

退院時の請求書をもらって、かなり驚いた。
手術代って、こんなにかかっているんだ、って。

腫瘍摘出の手術の翌日、出血のため再手術と輸血もしているので、
手術2回分と輸血4単位分ということになるのですが、
そこに書かれていた金額は・・・
手術料・輸血料:987,850円

それに加えて、麻酔代
300,010円

8日間の入院で、入院料等含めて、トータルとしては、1,733,840円でした。
この前買った私の車の、車体価格とほぼ同じじゃん!


もちろん、全額支払うわけではないのですが・・・。
というか、系列職員のため、全額免除。
一般の健康保険の人でも、高額医療の対象となるので、
実際の支払いは8万円程度なのですけどね。

病院はかなり稼いでいるんだなぁ・・・。
これが、私のお給料にもなっているんだなぁ、なんて思ったりもして・・・。


8日間の入院で、投薬料なんか3010円だし、食事負担(自費分)は3640円で、
意外に安くて、これも逆に、驚き。

アメリカでは、医療保険に入っていないと、
虫垂炎の手術でも数百万円の請求となると聞くので、
日本の保険制度の存在に感謝です。

術後1カ月半経過

手術してから、約1カ月半が過ぎました。
仕事を2週間で再開してしまったこともあって、なんだかあっという間。

術後しばらくは、患側(左)の上腕の痺れ感、創部とドレーン抜去部の痛みが強くて、
着替えをする、寝返りをする、振り返る…などなど日常生活も一苦労でした。

痛みどめのロキソニンを1日3錠飲んでいたけれど、
徐々に痛みは減ってきて、今では、飲まなくても大丈夫な日も多くなりました。
車の運転とか、荷物を持つとか、一通りの普通のことはできます。

胸部の違和感、これは、肋間神経痛といって、個人差はあるものの、3・4か月は続くのだそう。
常に、じわじわと違和感があって、時々、ピリッ!と痛みが走る、厄介なものです。

例えば、急に出るくしゃみやゲップ。油断していると、容赦なく痛みが走ります。
…辛い。

痛みがあるかと思えば、皮膚なんかは触覚が鈍くなってる部分と過敏な部分とが混在していて、
これも辛い症状の一つ。

手で触ると、その触った感じや温かさ・冷たさがわかりにくいくらい鈍いのですが、
着ているものが擦れるのにはとても敏感。
はじめのころは、ユニクロのブラトップでも辛かった。

先生は、
「冷えると、余計痛くなるから、なるべく冷やさないようにね」
と言っていたので、ヒートテックのシャツなんかを着て、冷やさないようにしています。


創部も、縫合部が赤黒く腫脹していたのだけれど、
それも徐々に腫れが引き、色も薄くなってきました。
まだ、自分的には気になるのだけど、ね。


そういえば、空咳も少なくなったし、肩で息をすることも減ったし、
心拍数もドキドキすることなく手術前と同じ位になってきたかなぁ?

借りている経皮的酸素飽和度(SpO2)のモニターも、時々使ってみるけど、
98~99%だし、呼吸機能的には、すっかり落ち着いたのかな?

2011年12月19日月曜日

術後辛かったこと その5 創部のにおい

術後1週間での退院となり、抜糸しないまま、初回の外来で傷を見ることとなった。
創部は自然治癒を促すため、消毒もなく、ガーゼも当てていない。

私が看護師になりたての頃は、毎日イソジンで消毒して、
ガーゼが少しでもはがれたら、消毒して張り替えていたのに、
十数年前から、手術後の創部に対する概念が全く変わっている。


創部は、5㎜置きにホチキスで留められている。
次の外来まで、家では、入浴は禁止だが、
シャワーで傷口をよーく洗って、清潔にせよ、とのこと。

創部がむき出しのまま家に帰り、シャワーで洗うなんて、医療者の私でさえ怖いのに、
一般の患者さんは、どうなのかな?
言われたとおり、普通に洗っているのかな?

シャワーが当たるのは痛いけど、意外に創部を洗うのはそれほど痛くない。
ただ、腫れているので、触ると違和感がある、不思議な感覚。


腋窩にある創部は、汗もこもりやすいので、少し赤みを帯びて腫れている。
傷が治っていく過程なので、痛痒い。
そして、何とも言えない、臭い・・・。
傷があるので、制汗スプレーを使えないのが辛い・・・。
夏場だったら、もっと大変だったかも。


ボディソープをよく泡立てて、そっと、創部を洗う。
腋の下は、ごしごしと洗いたいんだけど、痛いので、そっと。

抜糸(抜鈎)までは、淡い膿のような浸出液が創部からじわじわと出ていて、
でも、主治医は、「問題ない」、とのこと。
熱も出ないし、CRP/WBCも上がっていないので、いいということらしい。

浸出液は、シャツに染みついてしまうので、しばらく、汗ワキパッドを使って交換するようにした。

何とも言えない創部のにおいは、抜鈎後もしばらく続いていたが、
傷が回復するにつれて、徐々に臭いはしなくなった。

でも、もしかしたら、自分が気にならなくなっただけで、
周囲には嫌な臭い、してたかも、なんて気もする。


2011年12月18日日曜日

術後辛かったこと その4 から咳

深呼吸して、咳をして、痰をしっかり出してください、
と言われていた。

しかし、とてもじゃないけど、咳なんかできなかった。

うっかり咳をすると、体全体に痛みが走り、背中の筋肉がきゅっと固まるような感じがして、
それがすぐに治まらず、大変な思いをする。

でも、のどの奥にずっと絡まっている痰があって、
呼吸をするたびに違和感があって、それが動かないように浅い呼吸をしていると、
それはそれで苦しくなり、急に咳込んでしまう、の繰り返し。

しかも、横になって寝ている時に、咳込みが襲ってくると、
腹筋と背筋と創部に、直に力がかかり、創部が裂けて出血してしまうのではないか、
と思えるほどだった。

寝たままの咳は本当に辛い・・・。


それから、酸素を鼻から吸っていたのだが、3ℓ/分で流れているため、
鼻の粘膜も乾いて、だんだん痛くなってくる。
でも、酸素を外すと苦しいし、現に、SpO2の値も95%にすぐ落ちる・・・・。

加湿のためのネブライザーも、無いと乾燥しすぎるのだが、
もくもくした蒸気が、呼吸の中に入ってくると、これも、急な咳込みのもととなり、
調整が非常に難しかった。


「しっかり咳をして、たくさん痰を出してくだいねぇ」
なんて、この辛さを体験してないから言えるのだ・・・。


退院してからは、から咳が出て困った。

話そうとすると、痰が絡んでいるわけでもないのに、急に咳が出る。
数回咳込むと治まるのだが、
また、話そうとすると急き込んでしまう・・・、の繰り返し。

これも、その度に創部に痛みが響いて、本当に辛い時期だった。

2011年12月17日土曜日

術後辛かったこと その3 寝返りができない

左肺の上葉を切ったので、わきの下に10㎝の傷があり、
左乳房のすぐ下に1㎝の傷がある。

術後すぐ、寝返りしてもいいですよ、と言われていたのだが、
術後ドレーンが入っているときはもちろん、抜いてからも、
手術した左側を下にして寝ることは、痛くてできなかった。

かといって、右側を下にすると、
ドレーンが入っているときは、ドレーンが引っ張られるような違和感があり、
また、ドレーンが抜けてからは、
健康な方の肺が下側になると、呼吸がしにくく、息苦しく感じ、
結局、あおむけの状態しかできなかった。

普段は、右か左のどちらかの横向きで寝ることが多かったため、
仰向けの状態しかできないのは、非常につらい。
腰が痛くなる。

膝を曲げてみたりもしたが、1日中ベッドの上で寝ている身にとっては、
ほんの一時しのぎで、
しかも、膝を曲げる・伸ばすの動作自体も、寝たまま行うと、
腹筋と背筋を意外に使うため、創部に響いて痛いのである。

それから、仰向けで動けないでいると、布団が重く感じる。
特に、かかとの部分が圧迫されるように重く感じた。

ICUのベッドは、空気の圧が少しずつ動いて、同じ部位を圧迫しないマットだったため、
2日間寝ていても、それほど苦痛は感じなかったのだが、
一般病棟に移ってからのベッド生活は、本当に辛かった。

私はまだ、お尻や背中に肉がたくさんついているので良いのだが、
痩せている人、高齢者などが、寝返りができない場合、
本当に、すぐ、褥瘡(床ずれ)ができてしまうんだろうな、と実感した。

寝返り自体も辛い、同一体位でいることも辛い・・・。
水の中に浮いていたい数日間であった。


2011年12月16日金曜日

術後辛かったこと その2 シャワーが痛い

術後5日目に、創部に当てていたガーゼが取れて、
傷口を止めてある針はついているのだけど、シャワーを浴びてもよいとの許可が出た。

夏でなく、そんなに汗もかいていなかったし、毎日蒸しタオルで体を拭けていたのだが、
熱いお湯で洗い流せるのは、やっぱりうれしい。

まだ傷口が痛いので、ゆっくりそろそろと、着替えの支度をし、シャワー室へ。
パジャマを一人で脱ぐのも一苦労。

しばらくお湯を浴びていなかったから、熱さにちょっと敏感になっている。
少しぬるめに温度を設定して、シャワーを浴びる。

痛ったぁ~!

患側の左胸部から上腕にかけて、シャワーのお湯の粒が、
小さな針に刺されているように、ちくちく・びりびり突き刺さる。

皮膚の感覚が麻痺している部分と、過敏になっている部分がモザイク状になっている感じ。

健康なら、心地よい刺激のシャワーも、こんなに痛く感じるとは!
私の皮膚も、こんなに敏感だったんだ。

そういえば、自閉症の人で、シャワーを浴びるのが痛い、っていう話を聞いたことがある。
他の人より、感覚が過敏な部分がある自閉症の人の場合、こんな風に感じているのかな?
これは、自分が体験しなければ、わからなかった感覚。

また、一つ勉強。


体を洗うどころではなく、早々に切り上げて、術後初めてのシャワーは終了。

2011年12月11日日曜日

術後 辛かったこと その1  麺類が食べたいのに

退院したら、家に帰る途中の、その足で、お蕎麦かうどんを食べたかった。
とにかく麺類が食べたかった。

高級店でなくて、
駅の立ち食いの、厚いかき揚げがのったの。

だしの香りと、おつゆが染みて柔らかくなった天ぷらの衣・・・。
あ~、食べたい!

海外旅行から帰ってきたとき、ラーメンやうどんを食べたくなるのと
同じ心境かな?

そんなことを考えて、退院の日を待っていたら、昼食できつねうどんが出た。

わぁい。

・・・やっぱ、病院で出る麺類がおいしいわけないか(._.)

だし:もちろん、アツアツであるわけがなく、甘すぎる
 麺:のびてて、腰なし
 具:甘すぎる油揚げ
 そして、大好きな七味唐辛子もなし・・・。


なにより、びっくりしたことは、呼吸器機能が低下していて、
麺をすすれないということ。

ほんの2本のうどんをすする途中で、苦しくなって、せき込んでしまって、
おつゆを少し飲んでも、むせてしまったりで、もう、大変だった。

麺をすするのが、こんなに肺活量が必要だったなんて・・・。

結局、お箸でたぐり寄せながら、つるつるではなく、もぐもぐとうどんを食べたのだが、
時間はかかるし、おいしくないし、麺はますますのびてくるし、で
半分くらいで、ご馳走様。

あとで聞いたら、器から立ち上がる熱い汁ものの湯気でむせてしまって、
食べられない人も多いんだって。


そんなこんなで、ますますおいしいおつゆの麺類が恋しくなる。







2011年12月9日金曜日

術後の、お役立ちグッズ

創部が腋窩と乳房の下にあるので、ブラジャーができない。
痛いから。

ユニクロのブラタンクトップを2枚購入。
創部に当たる部分はそれなりに痛いけど、締め付け感が少なく、いい感じ。

これだと、金具も付いていないので、そのままX-P撮影も可能。
着替えの手間もかからないので、放射線技師さんに、「さすが!」と褒められた・・・。

ヒートテックのブラ付き長袖シャツも2枚買ったのだけど、
患側の腕が痛くて、着るのに大変だったため、まだ、1回しか着ていない。
痛みがなくなって、もう少し寒くなってから着るとしよう。



電動歯ブラシ 「ポケットドルツ」 
音波振動ハブラシ ポケットドルツ EW-DS12-N [ゴールド] 製品画像

Ope後、左手が上がらなくて、
しかも、右手を動かすと創部に痛みが走って大変だったとき、役立った。

歯磨きって、意外と手を動かしているんだなぁ、とも思った。

細かい振動タイプなので、家で使っているブラウンのより、刺激が少なく、
頼りない感じだが、これはこれで、良し。




Ipodアプリ  「いつだっけメモ Count it!」  を導入。

美容院に行ったとか、何かを買ったとか、日付を入れると、
「あれから何日目」と表示してくれるアプリ。

無料なのに、かわいくて役に立ちそう。

さっそく、Ope日を入力。

最近、美容院にも、まつ毛パーマにも行ってないので、ほかに入力する情報なし・・・。
悲しい。


SHARPのプラズマクラスタ 携帯用





風邪ひきさんが多い職場での、My空気清浄機として。

USB端子に接続しても使えるという優れもの。
充電も可能。

だけど、本当に効果があるのかは、疑問。
色がかわいいから、良しとしよう。

抜鈎、完了!

創部は、ホチキスで留められている。

腋窩に10㎝の創。
5㎜間隔くらいに留めてあるから、20針位か?

乳房の下には、胸腔ドレーンが入っていた4㎝位の創。
抜いたとこは縫わずに、アブソキュアというテープで密閉。

退院時から、ガーゼも当てなくて、解放のまま。消毒もなし。
シャワー可、入浴ダメ。
創部はよく洗ってね、って。
腋窩は、汗かくし、臭くなるし・・・。夏場じゃなくて良かった!

創部を洗うのは痛くないんだけど、シャワーの水が当たると、ピリピリと痛い。
これは、たいへん辛い。

Opeから2週間ちょっと、創部の周囲は赤みを帯びていて、
ちょっと腫れている。浸出液もあり。
服に付いてしまうので、汗ワキパッドを活用してます。

本日受診して、全部抜鈎完了
ホチキスの針を抜くことを、抜鈎(ばっこう)といいます。糸じゃないので、抜糸ではないのです。

皮膚のツッパリ感がなくなり、すっきりした。気のせいか、痛みも減ったような。

ちょっと赤みがあるので、抗生剤追加処方。
鎮痛剤(ロキソニン)は継続。
1日3回を2週間分くれたってことは、まだ、2週間この痛みが続くかもしれないってこと!?
嫌じゃ!

傷のこと

手術は、左側の腕を上げて、腋窩から一直線に10㎝位切開して行われると説明された。

手術が必要と告げられた時、何を思ったか、私が真っ先に質問したのは、傷の大きさのことだった。
ほかに聞かねばならないことはたくさんあったのに。

でも、意識下に、傷の大きさ=手術の侵襲の大きさという思いもあったんだろう。

主治医からは、何度も、「コスメティック的にも配慮します」と言われた。
cosmetic=美容
腕を下せば、傷は見えなくなる位置にあるので、美容上、問題ありませんよ、という意味である。

手術するほうからすれば、大きく切ったほうが視界も広いので手術しやすい。

しかし、術後の創部が小さく美しくあることは、患者の負担も少ないし、
術者としては、手術の技術の高さが示される。

「温泉に行っても、傷が気にならないと思う」とも言われたが、
私は、温泉よりも、ノースリーブの服を着るときのほうが気になるかも。

ま、とにかく、傷は一生残るわけなので、なるべく目立たないほうがいい。

傷が小さくて、手術が無事に終わればそれでいい、と思った。


その傷は、こんな感じ。

2011年12月2日金曜日

麻酔 その3 全身麻酔から覚める瞬間

全身麻酔が、どのように覚めるのかに興味があった。

すごく気持ちのいい場所にいて、そこから急に目が覚める
と聞いたことがあるから、実際どうなのかと。

全身麻酔がかかる機会なんて、そうそうないから、
せっかくなので、この覚める瞬間をちょっと楽しみにしていた。
同僚からも、どんな感じだったか、あとで教えて、って言われていたし。


結果を言えば、目が覚めるのはあっけない。

遠くで名前を呼ばれて、
朝起きるときと同じように目が覚めた。
それだけ

ただ、目が覚める直前、ぱぁっと明るいオレンジ色が、
目の前いっぱいに広がっていた。


目が覚めて、「手術、無事終わりましたよ」と言われて、
そこからまた、うとうとしてしまったのだろうか、
ICUに着くまでの記憶が、ない。




2011年12月1日木曜日

麻酔 その2 硬膜外麻酔

手術室に入って、すぐ、硬膜外麻酔のためのチューブ挿入。

Ope衣を脱いで、手術台の上に上がります。
温かいバスタオルは掛けてくれましたが、真っ裸です。

右側を下にして横になり、背中を丸めるような姿勢をとります。
これは基本姿勢。

おへそを見て、膝を抱えましょう・・・

実際に自分がされるのは初めてなんだけど、
学生さんにも講義しているので、この姿勢の取り方は慣れたもんです。

気弱そうな麻酔の先生に、
「上手です!さすがですねぇ~」 と褒められました・・・。

そこ褒められても、あんまり嬉しくないのですけど。


チューブ挿入前に、局所麻酔をして・・・
これが痛いと思ったら、あんまり痛くない。緊張していたからかな?

で、脊椎の位置を確かめて、チューブを入れるための針を刺します。
背中なんで、私は見えないのだけど。

針の穿刺は2回くらいやり直してたけど、局所麻酔がちゃんと効いていたためか、
押される感覚のみくらいで、ほとんど痛くない。
針の穴からチューブを通して、針を抜いて、テープを貼って完了。

意外と早かった。
下手な場合(いやいや、なかなかうまく入らない場合)、
やり直しやり直しで、1時間くらいかかる人もいるんだけど、よかった。
麻酔の先生、腕を疑っててごめんなさい(._.)

硬膜外が入ったら、すぐ全身麻酔。

顔に酸素マスクを当てられて、静脈注射での麻酔薬投与。
1・2・3・・・・

覚えているのはここまで。