2011年11月30日水曜日

麻酔 その1

手術は全身麻酔で行います。
術後の痛みに関しては、硬膜外麻酔で疼痛管理をします。

硬膜外麻酔は、脊髄の周囲にある硬膜の外腔に細いチューブを挿入して、
そこから痛み止めの薬を、自動的に少しずつ注入する方法。

見た感じは、背中から細い管が出ているような感じで、
手術の部位、痛みを取り除きたい部位によって、チューブを入れる場所が変わります。

病院では、術後の患者さんでよく見るのだけど、
実際に私がされるのは、もちろん初めて。
穿刺するところなどの場面もよく見ているから、なおさら怖い・・・。

手術の前日、私の麻酔を担当する、若い麻酔科医が説明をしに部屋に来た。

私が看護師であることはカルテに書いてあるので、若い先生は、なんだか、恐縮しきり。
「ご存知のことですけど・・・」を繰り返し口にする。
でも、一通り詳細な説明。
省略しないで、よく頑張りましたぁ~。

私の知識としてあやふやなところもあったので、
今回、ちゃんと聞けて良かった。


説明が終わって、その麻酔科の先生が部屋を出るとき一言。

「僕が麻酔を担当しますけど、
上の先生もちゃんとついて指導してくれますので、安心してください!」


・・・え?
なんだか不安になってしまうじゃん!
先生、もっと自信を持って!



いざ、手術!

8時半に手術室に着くようにするため、当日朝は7時前から何かと忙しかった。

肺塞栓予防のための弾性ストッキングを履き、
肩の部分でひもで結ぶタイプのOpe衣に着替える。

この薄緑のOpe衣に着替えると、完璧な病人になる。
点滴も始まっているから、なおさら。

鏡に映った姿を携帯で撮り、車で病院に向かっている夫に送信。
もうじき、着くらしい。

手術をする主治医と担当医の先生が病室に来て、
「じゃ、先に手術室に行って待ってます」
と告げられる。

緊張感が、また少しUpする。


全身麻酔の場合、以前は麻酔前投薬といって、
術前の緊張を弱めたり、麻酔時におこる反射を抑制したりするための薬を
筋肉注射していたのだけれど、
最近は、それ自体の影響も考慮し、前投薬は使われない傾向にあるらしい。

良かったよ、
あの筋肉注射、とっても痛そうなんだもん!



夫が病院に到着。

夫に「Ope」と書かれた左の肩を見せる。
これは、手術する側を間違えないように、前日マーキングされたもの。

前日、携帯で送ったら、
「なんで猿(=Ape)なの?」って返信が来たので、本物を見せておかなきゃ。
これは、どうみても「Ope」でしょ。

そうこうしているうちに、ストレッチャーが部屋に入れられ、
乗ってください、では、出発します・・・。

ストレッチャーの上から見る廊下の天井は、意外と低い。
エレベーターや廊下の段差は、寝ている身にはやはりがたがたと響く。
患者ならではの体験。

夫とは、Ope室の前でお別れ。
院内用のPHSを渡され、これから夫は数時間の待機。



2011年11月15日火曜日

どんな手術ですか?

手術と入院については、主治医から外来で簡単な説明があった。

入院してから、病棟のカンファレンス室で、詳しい説明を聞いた。
説明を聞いて、手術承諾書にサインする、
いわゆるインフォームド・コンセント。

AirMacの画面に、CT画像で私の胸部の輪切りと病変の形が、
コマ送りで次々と表示され、
それがアニメーションのようで、
私の肺の中のことではなく、何か他人事のように客観視している自分がいた。

私の落ち着きとは裏腹に、隣に座った夫(医療者でない)は、
とてつもない緊張であったようだ。
でも、逆の立場だったら、きっと、
医療者である私も、落ち着いて医師の話を聞いてはいられないかもしれない。

 診断名)左肺がん(疑)
      
      早期肺腺がんの可能性が高い
      確定診断には、病理組織診断が必要

 
 病期)StageⅠ

 手術)左肺上葉部分切除術
     手術時間:2.5時間+麻酔時間
     

     開胸創は腋窩に10~15㎝、乳房下に胸腔ドレーン
     疼痛には痛み止めを使用する     

 起こる可能性のある合併症)
     ・出血
     ・肺炎、無気肺
     ・空気漏れ(肺ろう)
     ・観戦(創感染、膿胸)
     ・不整脈
     ・肺塞栓症(エコノミークラス症候群)
     ・その他、全身麻酔の影響による、脳・心・腎・肝の機能障害

 手術翌日から歩行と食事可能
 最終病理診断(約2週間後)により、今後の治療方針を決定
 (化学療法、放射線療法の必要性の有無の判断)

今まで、看護師として、多くの患者さんのインフォームド・コンセントの場に
立ち会わせていただいたり、カルテで目にしたりしていた情報が、
この目の前に、自分のこととして、ある。

2011年11月4日金曜日

私、たばこ吸わないのに、なぜ?

肺がんです、と言われて、すぐに出た言葉。
「私、たばこ、吸ったことないんですけど…」

肺がん=たばこ
というイメージがあるのだけど、近年、喫煙経験のない女性の肺がんが増えているのだそうです。

しかも、女性の肺がんのうち、喫煙が原因のものは約20%、残りの80%は喫煙が原因ではないそうです。
そんな、アホな・・・。

さらにダメ押し。
女性の肺がんは、女性ホルモンが要因の1つ。
・・・ってことは、女性であることが、がんの原因・・・(涙)。

http://stoplc.jp/a00kisochishiki.html
STOP!肺がん HP
http://www.haigan.gr.jp/modules/ippan/index.php?content_id=1
日本肺がん学会HP 一般の皆さまへ


がんになったことの原因を、どうしても探してしまうのだけど、
何ともならない「原因」というのも、やり場がない。
予防のしようが無い、ってこと!? 開き直るしかない!

2011年11月1日火曜日

健康診断

きっかけは、職場の健康診断。

4月に新たに就職し、そこでの健康診断で撮影した胸部X線写真。
健康診断の会社(病院?)の医師の読影では、
異常なし

しかし、職場の上司である先生(呼吸器内科医)によれば、
「左の上葉に、1㎝くらいの小さい影がある」のだそう。

PCのモニターに映された私の胸部のX-P。
写真を拡大できるソフトが入っているんですね。

でも、
「ほら、ここ」
って言われても、はっきり言って、どれがそうなのか、よくわからなかった。

すごく咳が続いたことがないか、痰がたくさん出ることはないか?
呼吸器系の症状の有無を聞かれても、
風邪で寝込んだことはほとんどないし、
花粉症もないくらいだったので、思い当たる節がない。



肺の影は、気管支炎や肺炎など呼吸器感染症が治った後、
肺の一部が瘢痕化(傷痕として残る)して、影として映ることがあるのだそう。

そういえば、1・2年前、台湾に行ったとき、
帰国してからも咳が続いたことがあったような・・・。

それから、結核。
どこかで感染っていて、症状は出ていなくても、菌を持っている状態の可能性。
芸能人の結核感染のニュースを見ていたので、
これは、可能性があるかも、と思った。
結核だと、他の人に感染してしまう可能性があるので、大変だ!

こんな感じで、ほぼ「感染症」系で話が進んでいった。

「じゃ、今後、咳が続いたり、おかしいな、と思ったら、すぐに受診してね」
「はーい!」

血液検査では、白血球やCRPなどの異常所見もないので、
今現在、症状がないなら、とりあえず様子見でいいか、という話も出つつ、
X-Pのみでは、わからないけど、CTを撮ればもう少し詳しくわかる・・・。


ただ、私も、医療者として、結核を持っていた場合、
症状が出てからでは、あとで周囲の人たちに大変な迷惑がかかり、
大問題になると思ったので、
「結核ではない」ことを診断してもらうための検査なら、
大げさだけど、CTを受けてもいいかな、と思った。
で、検査をして、疑わしきは排除して、無罪放免、すっきりしたいと思った。

先生の部屋を出るとき、机の上には、「肺癌」というタイトルの医学雑誌。

「あ、これは気にしないでね」
って、あせる風でもなくいう先生の口調に、
本当に「がん」のことを気にもしなかった私。

「がん」のことなんて、まったく考えていなかった。
「感染」で、人にうつしたら大変! そう思っていた。