2011年10月31日月曜日

告知の告知 その1 夫に

10月
「問題ない」と言われることを予測して、とりあえず、最終の受診になるはずだった。

4月の健康診断のX-Pで不明の影が見つかって、5月にCTで精査。
何かあるけど、小さくて(1㎝)わからないから、7月に変化があるか、もう一度CTを撮りたい。

7月のCTでも、大きさに特に変化なし。
胃液培養で結核感染ではないことは証明された。
CRP、WBC値に異常なし。呼吸器症状なし。
じゃ、何か?

分らない。

Dr.「このまま様子見でもいいんだけど・・・、でも、3か月後に、もう一度だけCT撮らせて。」

夫や友人、職場の同僚・上司にも、受診で仕事を休んだり遅刻したりする手前、
「肺に何かあるらしいんだけど、まだ何か分らないんだって。
気管支炎の治った後の瘢痕化かもしれないって。」
と伝えていた。

10月 「告知」

手術を受けることになったことを、夫や周囲に、「どう告知」するか。

たった今、自分が「肺がんであって手術が必要」ということを告知されたばかりなのだが、
今度は、その事実を、伝えなければならない。

夫は、どんな反応を示すかな?
友人は?同僚・上司は?

「誰から?」・・・もちろん、夫から。


 「あのね、手術することになった。」

 「え、なんで?」

 「あのね、肺がんかも、って言われた。」

 「え?がん?・・・言ってる意味が分からない。」

 「分んないって・・・わたしも、今、そう言われたばかりなんだもん。」

 「そのまま入院なの?悪性なの?やばいの?」

 「がんだから、悪性。入院はすぐじゃない。今すぐはやばくない。」

 「今日、帰ってくるの?」

 「うん、仕事行って、帰る。帰ったらまた詳しく話す。」


電話の後、少し涙が出た。

診察室で、自分が「告知」されたのは少し前のこと。
その時は、それでも、冷静にしていたのかもしれないが、夫に話したら、
急に、現実味を帯びてきて、怖くなった。

がんは自分の体に起こっていることなんだけど、
もちろん、がんになったこと、手術することは怖いけど、
夫がショックを受けているだろうな、と想像すると、そちらのほうが辛かった。



心の準備~プレパレーション~

小児看護では、よく使われる言葉に、
「Preparation」という用語があります。

「準備」という意味ですが、小児看護の教科書では、「心的準備」などと表現されています。

まだ、大人の言葉での「病気」や「治療」、「検査」等の説明が、十分理解できない子どもに対して、
その子がわかる言葉や表現で説明(例えば、人形や紙芝居などを使って)し、
少しずつ分ってもらうことで、病気や治療、検査などに対する不安を減らし、
病気に向き合えるようにする支援方法の一つです。

大人で言うと、インフォームド・コンセント(説明と同意)の、説明の部分の
子どもへの行い方の一つ。


看護学生への期末試験に、このことを試験問題として出したら、
90%の学生さんが書けてました!
国家試験でも出ますと言ったからかな?

それはいいとして、
これがPreparationなんだなぁ、嬉しいかも!と実感したこと。

同僚に、Ope室看護師の経験が長い人がいて、
「手術することになった」、と伝えると、
手術中の麻酔や体位、使う手術器具、術後体に付けられる医療機材、痛さ、症状・・・など、
事細かに説明してくれたのです。

人によっては、そんなこと聞くと余計怖い!と感じる人もいるかもしれないけど、
これが、私にとっては、手術や入院生活をイメージできる、なによりの情報となり、
自分の体にこれから起こることを、じっくり観察しよう!
と吹っ切れるきっかけとなったのです。

手術、がんに向き合う 「心の準備」 とっても大切です。

誰に話すか、それも大切。
話して、落ち込んでしまう人には話さないほうがいい。

2011年10月28日金曜日

そんな急に言わないで・・・告知は突然に!

「あ、ここね。これ、小さいけど、がんの専門医が見たら10人中10人が、がんって言う所見です。」

CTの画像の白い影は、3か月前の画像よりちょっぴり大きくなっているという。

・・・今、がん、って言いました?
それって、告知ですか?!
そんな、あっさり。
もうちょっと、タメがあるかと思っていたよぅ。

私が看護師だから?
いや、それ以上に、私が看護系大学の教員であることが、カルテにばっちり書かれていること、、
そして、ここがその大学の附属病院であることが大きな要因なのだが、
それにしても、直球すぎやしませんかっ!?

これは、主治医のキャラクターなんだろうか?
ほかの、ごく普通の患者さんにも、同じような告知をするのでしょうかねぇ?

ま、あまりにあっさりしすぎて、
「はぁ~」と息をついていると、すかさず、第二波が。

「この大きさだと、StageⅠですね、手術だけで行けると思います。
それで、手術の日なんですけど、この日に入れてみたんですけど。
講義とか、予定入ってるかなぁ?」

コンピュータのモニターには、すでに私の名前と術式が、2週間後のOpe枠に記載されている。

・・・え?、いや、ほら、私、まだ、だれにも言ってないし、相談してないし・・・。
手術という文字に、激しく動揺してる。

巧みな訪問販売のおじさんの口車に乗せられるように、今ならオレオレ詐欺なのかな?、
わけのわからないまま、とりあえずその日に手術予約を入れておいてもらうこととなり、深呼吸。

そして、来た~、告知第3波!?

「アポロの年なんですね、生まれ年。僕も同じです。」

急に気が抜けちゃって、先生の顔を、しっかりと見ることができた。
任せようと思えた、手術をお願いしようと思えた。